福祉・介護職員等処遇改善加算の見える化要件
1 「福祉・介護職員等処遇改善加算」とは
障害・高齢分野における人材不足は、年々深刻さを増しており、その大きな原因として、膨大な業務量に対して賃金が低いという現状があります。その一時的な対策として、国が報酬への加算というかたちで職員の賃金アップにつながる措置を行っています。
2024年度から、これまでの「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」の各加算・各区分の要件および加算率を組み合わせ「福祉・介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。
当法人では、職員の賃金改善、職務内容の整備や研修の機会などのキャリアパス要件、また、職場環境の整備などにより、算定要件を満たしていることから、この「福祉・介護職員等処遇改善加算の申請を行ない加算が適用されています。職場環境要件を公表することが、「見える化要件」として、新たな算定要件として追加されたため、環境整備についての具体的な取リ組みを公表します。
2 職場環境要件の取り組み内容
(1) 入職促進に向けた取り組み
職場環境要件項目 | 法人としての取り組み |
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法人事業所の経営理念や支援方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 | 法人及び事業所の事業計画の中に、運営方針、重点目標、研修・行事計画が盛り込まれており、計画に沿って各部署運営を行っている。 |
他業種からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 | 正規職員からパート職員まで、有資格にこだわらない幅広い採用を行っている。 |
(2) 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
職場環境要件項目 | 法人としての取り組み |
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働きながら介護福祉士等の取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、専門性の高い支援技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引研修、強度行動障害支援者養成研修、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等 | 法人内各事業所において、職員それぞれの成長段階に合わせ研修の機会を年間計画等に沿い提供している。喀痰吸引については受講できる体制整備に努めている。 |
上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保 | 随時相談の機会を設け、様々な働き方に対応できるよう努めている。 |
(3) 両立支援・多様な働き方の推進
職場環境要件項目 | 法人としての取り組み |
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子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 | 「育児介護休業規程」を改定し、育児や介護をしている職員も働きやすい環境を整備している。 |
職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備 | 限定職員として制限がある職員も正規職員として働けるような制度を導入している。 |
有給休暇の取得促進のため、取得しやすい雰囲気・意識作りのため、取得状況を定期的に確認し、積極的な声掛けを行っている。 | 会議等で有給休暇の取得を促し、取得しやすい雰囲気・職員の意識作りを行っている。全職員の取得ができるようシフト作成時に積極的に声かけを行っている。 |
(4) 腰痛を含む心身の健康管理
職場環境要件項目 | 法人としての取り組み |
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業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 | 定期的な職員健康診断の実施、またメンタルヘルスチェックの実施、各部署上司の面談を行っている。 |
事故・トラブルヘの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 | 安全衛生委員会を中心に事故の防止や対応マニュアルに沿った対応をすすめている。 |
(5) 生産性の向上のための業務改善の取リ組み
職場環境要件項目 | 法人としての取り組み |
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5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備 | 安全衛生委員会が年6回、安全パトロールを行い、職場環境が5Sに沿って整備されているかを確認している。要改善箇所を抽出し、各担当や部署で改善につなげている。 |
現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している。 | 委員会や会議にて課題の抽出を行い、改善に向け取り組んでいる。 |
業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減 | 業務マニュアルを定期的に見直すことにより、マニュアルと実際の実務に乖離が起こらないよう努めている。 |
業務支援ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末)の導入 | 介護ソフトを使用し、全職員が情報共有できるよう環境整備がされている。 |
(6) やりがい・働きがいの醸成
職場環境要件項目 | 法人としての取り組み |
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ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の福祉・介護職員の気づきを踏まえた勤務環境や支援内容の改善 | 毎朝のミーティングで情報共有を図るとともに、毎月実施している職員会議、幹部会において、職場内に必要な留意点、改善すべき労務環境や支援内容について検討している。またケアカンファレンスにおいては、支援の在り方について協議を行い、ケア内容の改善に努めている。 |
地域包括ケアの一員としてもモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 | 学校の生徒との交流、行事を通じての地域住民との交流を絶やさないよう努めている。 |
利用者本位の支援方針など障害福祉や介護保険、法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 | 各事業所で定期的に研修を行い、学ぶ機会の提供を行っている。 |